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株価が1株当り株主資本を下回ることの意味

日本企業の中では、株価が1株当り株主資本(BPS)を下回っている、すなわち、株価/1株当り株主資本(PBR)が1未満である企業が数多く存在する。本レポートでは、その意味について検討する。
理論株価を算出するバリュエーションモデルは、配当割引モデルやキャッシュフロー割引モデルなどがあるが、ここでは残余利益モデルで考えてみたい。以下が、単純化したモデルによるイメージである。

株価/1株当り株主資本(PBR)=1+(将来のROE–資本コスト)の現在価値

式によれば、将来のROEが資本コストを上回っておれば、PBRが1以上となり、逆に将来のROEが資本コストを下回れば、PBRが1未満となることを株式市場が予想していることになる。
ただし、米国などでは、ROEが資本コストを下回る企業に対し、株主から不良資産の売却等の圧力がかかることになる。その結果、リストラが促進され、ROEが改善されることが期待される。また、PBRが1未満であることから、買収のターゲットとなり、企業自身がROEを改善させるか、あるいは買収されることで改善される可能性がある。
しかし、日本企業の場合、コーポレートガバナンスの問題が大きく、PBRが1未満に対して、収益改善を要求する株主は少なく、またその力も弱い。また、敵対的買収も、一時期買収防衛策が数多く導入され、その成功の可能性が低い。すなわち、日本企業はコーポレートガバナンスに問題があるため、PBRが1未満の企業が、そのまま放置されれていることになる。
本年、コーポレートガバナンスコードが施行が予定されている。こうした、日本企業に対するコーポレートガバナンスが強化されることは、日本において、PBRが1未満企業の数を減少させる可能性がある。言い換えれば、株価の上昇が期待される。

ご参考:シンプルな残余利益モデル
モデルによれば、株主価値は以下のように定義される。


 Vt : t期での株主価値
 Et : t期での一株当り当期利益(EPS)
 Et : t期での一株当り当期利益(EPS)
 r  : 資本コスト
①式のV0 を株価P0 に置き換え両辺をB0 で割る。


②式は、PBRの定義式なる。右辺は、1に、ROEと資本コストの差の現在価値を加えたものに近似される。

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