投資家と開示支援担当者が語り合う-統合報告書の原点回帰

昨今、企業にはサステナビリティ情報開示をはじめ、さまざまな開示が求められています。
一方で、そのような開示要請への対応を考えるあまり、投資家向け開示の基礎となる自社の「ビジネスモデル」の説明がおろそかになってしまっては本末転倒です。
そこで当社は、三菱UFJ信託銀行株式会社 サステナブルインベストメント部フェローの加藤正裕氏をお招きし、当社の若手スタッフとの座談会を実施しました。今回は、その中で交わされた議論の概要をご紹介します。

開催概要
・開催日時 2026年2月10日(火)10:30-12:30
・開催場所 当社会議室
・当日のプログラム
加藤氏によるレクチャー:ビジネスモデルやマテリアリティの定義など、統合報告書等の開示において重要な要素について、投資家の視点から解説していただきました。
座談会:加藤氏と弊社の若手スタッフ7名が参加し、議論を交わしました。

主な内容
最初に、「ビジネスモデル」について、加藤氏の定義をご説明いただきました。「ビジネスモデル」とは、「強みを確立し、誰に何をどのように付加価値を提供し収益を得るか、その稼ぐ力を示す仕組み」です。さらに、この定義を理解した上で、一つのストーリーとして説明することが重要です。

投資家は「将来どうなっていくのか」という点に注目しています。5~10年後のビジネスモデルがどのように変わっていくのかについて自社の考えを示した上で、以下の観点から長期的な視点でストーリーを構築・説明することが求められます。
・なぜそのビジネスモデルが必要なのか(Why)
・どのように実現するのか、それを実現するための人材・組織・文化はどのような状態にあるのか(How)
・経営戦略から人材戦略、具体的施策、KPIまでが、どのように連携しているのか

近年の統合報告書は質・量ともに拡充されてきた中、その内容を振り返ると、“今までやってきたこと”や“今後やりたいこと”=“What(こと)”が中心で表層的な情報が多い、と加藤氏は指摘します。

投資家が企業に期待している情報は、企業の「本気度=深層的な情報」です。それを示すには、経営トップが目指す企業の将来像を起点に、各部門がそれをどのように実現していくのかを自らの言葉で述べることが重要です。
統合報告書においても、経営トップの考えを軸に構築することで、より統合的で説得力のあるストーリーを示すことができるでしょう。

最後に
統合報告書の制作支援に携わる当社の役割は、単に「外部の開示要請に対応する」ことではなく、「企業の経営層や現場の本音を引き出し、その企業ならではのストーリーを紡ぎ出すこと」だと考えています。

本座談会では、当社が重視してきた投資家視点の開示について、投資家のリアルな言葉を通じて、より理解を深めることができました。また、企業自身が気づいていない点や当然のことと捉えている点が、その企業独自のストーリーを構築する上で重要なヒントになり得るという気づきも得られ、制作支援を含むさまざまな現場でお客様とさらに深く向き合っていくという当社の提供価値を見直す機会ともなりました。

さまざまな開示要請への対応が求められている今だからこそ、企業報告や統合報告書の原点に立ち返ることが重要だと認識しています。

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