世界の動向

保護主義貿易や地政学リスクへの懸念とIIRC

世界は、保護主義貿易や地政学的リスクへの懸念が言われる中、IIRCは国際統合報告フレームワーク公表後、新たに、企業報告ダイアログ(Corporate Reporting Dialogue :CRD)を立ち上げ、この間、活動してきました。グローバルな企業報告フレームワークを持つ8団体(IIRC含む)が参加し、対話により、相互のフレームワークにもたらす、統一性・一貫性・比較可能性を検証し、より実用的なコラボ―レーションのあり方を模索しています。加えて、2016年12月、ロンドンにおいて、IIRCは、機関投資家を中心とした団体、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)と共同カンファレンスを行うといった活動も行っています。IIRC以外の諸外国でも、米国、欧州、アジア等では様々な活動が活発化しています。(別表参照)。

グローバル
  国連持続可能な開発会議 (リオ+20)の開催:国際連合/ブラジル政府
アジェンダ21の選択:国際連合
国際統合報告フレームワーク の公表: IIRC
PRI報告フレームワークの公表: PRI
投資家・企業のサステ ナビリティ戦略の公表: グローバルコンパクト/PRI
統合報告テクノロジーイニシアティブの発足:IIRC
企業報告ダイアログの発足:関連機関によるコンソーシアム
G4・EU指令ガイドブックの公表:GRI
COP21パリ協定の採択:国際連合
持続的成長に向けた金融システム調査報告書の公開:国連環境計画(UNEP)
グローバルリスク報告書の公開:WEF
アジェンダ2030の採択:グローバル・コンパクト
GRIスタンダードの公表:GRI
気候関連財務ディスクロージャータスクフォース設立:金融安定理事会(FSB)
欧州
  改正透明性指令の制定:欧州連合(EU)
非財務情報および多様性の 開示に関するEU指令の制定:欧州連合(EU)
人権報告フレームワークの公表:UNGPs、Shift
持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:ユーロネクスト・グループ
  英国
  「記述報告の将来」の公表:英国BIS
ケイレビューの公表:英国BIS
戦略報告書開示指令の制定:英国BIS
戦略報告書ガイドラインの公表:英国FRC
持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:ロンドン証券取引所
競争力と生産性向上に向けた政府計画の公表:英国財務省、英国BIS
現代奴隷法の制定:英国内務省
生産性向上に対する支援表明:英国機関投資家
フランス
  ヘルスケア分野の情報開示の義務化:フランス大統領府
ヘルスケア分野の情報開示 義務の実施細則の公表:フランス大統領府
フロランジュ法の制定:フランス大統領府
気候変動リスク関連情報開示の義務化:フランス大統領府
ESG情報開示方法の公表:フランス国民議会
SRIラベル認証制度の導入、指針発表:フランス大統領府
ドイツ
  株式取得・処分の通知公開義務の強化:ドイツ証券取引所
開示ベストプラクティス・ガイドラインの公表:ドイツ証券取引所
持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:ドイツ証券取引所
株式取得・処分の通知義務・罰則の強化:ドイツ証券取引所
スウェーデン
  公的年金運用におけるESG投資強化の表明:スウェーデン公的年金基金AP3
サステナブルボンドリストの公表:ナスダック・ストックホルム
持続可能な証券取引所 イニシアティブに参加:ナスダック・ストックホルム
米国
  持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:ナスダック
持続可能な証券取引所 イニシアティブに参加:ニューヨーク証券取引所
サステナビリティ会計基準の策定、ガイドラインの公表:米国SASB
アジア
  シンガポール
  コーポレートガバナンスコードの改訂・制定:シンガポール金融管理局
株主のエンゲージメント強化に向けた上場規程の改訂:シンガポール証券取引所
内部統制ガイドラインの制定:シンガポール金融管理局
責任ある投融資ガイドラインの策定:シンガポールSAB
サステナビリティ情報開示規則を検討:シンガポール証券取引所
タイ
  CG原則のアセアンCG スコアカードへの適用:タイ証券委員会
資本市場の持続的な成長に向けた3カ年計画の策定:タイ証券取引所
持続可能な開発基金TSDFの設立:タイ証券取引所
持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:タイ証券取引所
マレーシア
  コーポレートガバナンスコードの改訂・制定:マレーシア証券委員会
内部統制宣言の公表:マレーシア証券取引所
ESG指数の公表:マレーシア証券取引所
サステナビリティ情報 開示の諮問書の公表:マレーシア証券取引所
サステナビリティ報告ガイドの策定:マレーシア証券取引所
中国
  内部統制ガイドラインの公表:深圳証券取引所
CSR評価準則の策定:中国企業評価協会
炭素効率インデックスの公表:上海証券取引所
香港
  ESG報告ガイドの策定:香港証券取引所
ESG開示の義務化:香港証券取引所
台湾
  コーポレートガバナンスセンターの設置:台湾証券取引所
コーポレートガバナンスインデックスの公表:台湾証券取引所
GRIに基づくCSR報告の義務化:台湾証券取引所
韓国
  非財務情報開示システムの導入:韓国環境省
ガバナンス情報開示の強化:韓国証券取引所
持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:韓国証券取引所
インド
  持続可能な証券取引所イニシアティブに参加:ボンベイ証券取引所
インド会社法改訂によるCSR義務化:インド企業省
温室効果ガス排出量 の測定基準を公表:ボンベイ証券取引所等

中でも、持続可能な開発目標やパリ協定を受けて、金融安定理事会(Financial Stability Bord :FSB)では、気候関連財務ディスクロージャータスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を発足させ、世界的な企業、金融機関、公的機関等がメンバーとなり、野心的なフレームワークを、2017年7月のG20サミット上で、発表する計画は注目を集めるところです。
南アフリカや英国は早くからIIRCのコンセプトに取り組んできたこともあり、レポートにおける質向上の取り組みが様々あります。様々なステークホルダーによる、国レベルでの底上げやコラボレーションが今後、鍵を握るのではないでしょうか。そうした中、米国SEC (Securities and Exchange Commission:証券取引委員会)では、FASB (Financial Accounting Standards Board:財務会計基準審議会)やSASB (Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)にフレームワークのコンセプトを要請してきました。SASBでは10産業セクター、約80種類の年次報告書において開示する非財務情報の基準項目やKPIを策定し、金融情報端末上でも実務的に使用できる段階に入っている状況です。
世界の動向を踏まえると、やはり日本においても、現在、日本版スチュワードシップ・コード改定のための議論や、コーポレートガバナンス・コード導入により、インベストメント・チェーンの好循環は、政府の施策に資するものと位置づけられています。今後も政府を中心としたフォローアップが継続的に行われ、実質面での向上が取り上げられるでしょう。

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